「服従」ミシェル・ウエルベック著 大塚桃訳
19世紀のデカダン作家ユイスマンスの研究者であるフランソワは、ソルボンヌ=パリ第4大学で博士号を得て、パリ第3大学で教壇に立っている。結婚をせず、毎年、新入生と恋愛関係を続けてきたフランソワだが、教授に昇進し、新たな恋を始める意欲を失ってしまう。2022年、大統領選が行われ、極右政党の女党首と穏健イスラム政党の党首が決選投票に残る。ファシストかイスラム主義者かという究極の選択を迫られた国民は、後者を選択。イスラム政権の樹立により、大学はムスリムしか教壇に立てなくなり、改宗を拒んだフランソワは解雇されてしまう。
ベストセラー「素粒子」の著者による、現在の世界情勢を予言したかのような問題小説。(河出書房新社 920円+税)