「おもちゃ絵 芳藤」谷津矢車著

公開日: 更新日:

 人気絵師の歌川国芳が死んだ。弟子の芳藤は国芳の次女・お吉に頼まれて葬儀を仕切り、国芳の画塾を引き継ぐことに。葬儀が終わるころ、馴染みの版元・樋口屋がやってきて、国芳の姿を描く追善絵の話をもちかける。弟弟子や樋口屋の勧めで芳藤が引き受けることにしたとき、かつて国芳の弟子だった河鍋暁斎のひと言が芳藤の心を刺した。

「あんたの絵には華がないよ」

 浮世絵師とはいっても芳藤が描いているのは役者絵でも美人画でもなく、福笑いのようなおもちゃ絵だった。芳藤は追善絵の仕事を人間を描くのが得意な弟弟子の幾次郎に譲る。だが、そんな芳藤にも時代の光が当たるときが……。絵筆ひとすじに生きた絵師の物語。(文藝春秋 1650円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る