「おもちゃ絵 芳藤」谷津矢車著

公開日: 更新日:

 人気絵師の歌川国芳が死んだ。弟子の芳藤は国芳の次女・お吉に頼まれて葬儀を仕切り、国芳の画塾を引き継ぐことに。葬儀が終わるころ、馴染みの版元・樋口屋がやってきて、国芳の姿を描く追善絵の話をもちかける。弟弟子や樋口屋の勧めで芳藤が引き受けることにしたとき、かつて国芳の弟子だった河鍋暁斎のひと言が芳藤の心を刺した。

「あんたの絵には華がないよ」

 浮世絵師とはいっても芳藤が描いているのは役者絵でも美人画でもなく、福笑いのようなおもちゃ絵だった。芳藤は追善絵の仕事を人間を描くのが得意な弟弟子の幾次郎に譲る。だが、そんな芳藤にも時代の光が当たるときが……。絵筆ひとすじに生きた絵師の物語。(文藝春秋 1650円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾