「おもちゃ絵 芳藤」谷津矢車著

公開日: 更新日:

 人気絵師の歌川国芳が死んだ。弟子の芳藤は国芳の次女・お吉に頼まれて葬儀を仕切り、国芳の画塾を引き継ぐことに。葬儀が終わるころ、馴染みの版元・樋口屋がやってきて、国芳の姿を描く追善絵の話をもちかける。弟弟子や樋口屋の勧めで芳藤が引き受けることにしたとき、かつて国芳の弟子だった河鍋暁斎のひと言が芳藤の心を刺した。

「あんたの絵には華がないよ」

 浮世絵師とはいっても芳藤が描いているのは役者絵でも美人画でもなく、福笑いのようなおもちゃ絵だった。芳藤は追善絵の仕事を人間を描くのが得意な弟弟子の幾次郎に譲る。だが、そんな芳藤にも時代の光が当たるときが……。絵筆ひとすじに生きた絵師の物語。(文藝春秋 1650円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    長嶋一茂は“バカ息子落書き騒動”を自虐ネタに解禁も…江角マキコはいま何を? 第一線復帰は?

  3. 3

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  4. 4

    "お騒がせ元女優"江角マキコさんが長女とTikTokに登場 20歳のタイミングは芸能界デビューの布石か

  5. 5

    【独自】江角マキコが名門校との"ドロ沼訴訟"に勝訴していた!「『江角は悪』の印象操作を感じた」と本人激白

  1. 6

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  2. 7

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  3. 8

    99年シーズン途中で極度の不振…典型的ゴマすりコーチとの闘争

  4. 9

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  5. 10

    今田美桜が"あんぱん疲れ"で目黒蓮の二の舞いになる懸念…超過酷な朝ドラヒロインのスケジュール