「おもちゃ絵 芳藤」谷津矢車著

公開日: 更新日:

 人気絵師の歌川国芳が死んだ。弟子の芳藤は国芳の次女・お吉に頼まれて葬儀を仕切り、国芳の画塾を引き継ぐことに。葬儀が終わるころ、馴染みの版元・樋口屋がやってきて、国芳の姿を描く追善絵の話をもちかける。弟弟子や樋口屋の勧めで芳藤が引き受けることにしたとき、かつて国芳の弟子だった河鍋暁斎のひと言が芳藤の心を刺した。

「あんたの絵には華がないよ」

 浮世絵師とはいっても芳藤が描いているのは役者絵でも美人画でもなく、福笑いのようなおもちゃ絵だった。芳藤は追善絵の仕事を人間を描くのが得意な弟弟子の幾次郎に譲る。だが、そんな芳藤にも時代の光が当たるときが……。絵筆ひとすじに生きた絵師の物語。(文藝春秋 1650円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘