「美酒と黄昏」小玉武著

公開日: 更新日:

 植草甚一がワセダの学生だったころ、不良詩人のサトウハチローの出版記念会に行った。上野広小路のバー、紅葉軒で赤い酒、青い酒を飲み、エノケンにサインをもらった。帰りに新宿で私服の刑事にアカと疑われてなぐられ、さらに友人に誘われて吉原に登楼。その後、かなり飲んだが酔わなかった。内藤鳴雪の〈大盃落花も共に呑み干しぬ〉という句が身に沁みた。前年の暮れに読んだヴァン・ダインの「僧正殺人事件」の感動を思い出し、自分らしく自由に生きようと思った――。

 戦後の一世代のミステリーファンの「神様」だった「植草甚一」がこの日、生まれた。(「紅灯緑酒」)

「サントリー・クォータリー」元編集長の文芸エッセー。(幻戯書房 2200円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    プーチン政権崩壊の兆し国内外で加速 南オセチア大統領選で親ロシア派現職が衝撃の敗北

    プーチン政権崩壊の兆し国内外で加速 南オセチア大統領選で親ロシア派現職が衝撃の敗北

  2. 2
    細田衆院議長の“100万円しか”発言に自民OBが苦言「頭がおかしいとしか…」

    細田衆院議長の“100万円しか”発言に自民OBが苦言「頭がおかしいとしか…」

  3. 3
    キムタクと交際の噂があった“かおりん”直撃 9年近い交際

    キムタクと交際の噂があった“かおりん”直撃 9年近い交際

  4. 4
    中日・根尾をダメにする立浪監督の朝令暮改 私なら本格的に「投手」をやらせる

    中日・根尾をダメにする立浪監督の朝令暮改 私なら本格的に「投手」をやらせる

  5. 5
    巨人は今オフもお得意FA封印か…補強失敗続きで阪神・西、中日・高橋周らもスルー気配

    巨人は今オフもお得意FA封印か…補強失敗続きで阪神・西、中日・高橋周らもスルー気配

もっと見る

  1. 6
    ロシア軍兵士もウンザリの装備ポンコツぶり…指揮官の命令も「拒否」する異常事態

    ロシア軍兵士もウンザリの装備ポンコツぶり…指揮官の命令も「拒否」する異常事態

  2. 7
    石川遼もマッチョに変身…プロゴルフ界で大流行する「筋トレ」の弊害

    石川遼もマッチョに変身…プロゴルフ界で大流行する「筋トレ」の弊害

  3. 8
    内田有紀が低迷キムタクドラマを救う? 快進撃を支える圧倒的美貌と“事実婚”柏原崇の存在

    内田有紀が低迷キムタクドラマを救う? 快進撃を支える圧倒的美貌と“事実婚”柏原崇の存在

  4. 9
    日本ハム新庄監督が選手に初カミナリの深謀遠慮…元ヤクルト飯田哲也氏が意図を推察

    日本ハム新庄監督が選手に初カミナリの深謀遠慮…元ヤクルト飯田哲也氏が意図を推察

  5. 10
    ロシア国内のプロパガンダに異変…苦し紛れの“国家総動員”で露呈したロ軍のキュウキュウぶり

    ロシア国内のプロパガンダに異変…苦し紛れの“国家総動員”で露呈したロ軍のキュウキュウぶり

人気キーワード