「たべもの芳名録」神吉拓郎著

公開日: 更新日:

 往年の人気作家(94年没)による食エッセー。

 春のある日、家人が電話で話す内容から、心待ちにしていたことがついに実現することを知る。知人の奥さんが、手製の五目ずしを持って我が家に向かっているというのだ。北海道生まれの奥さんのサケが主力だというそのすしの話題から、デパートの名産展で見かけたスペインの職人の話や、内田百閒の随筆で読んで以来、一度は食べてみたいと思っている岡山のすし、そして祖母のすしまで話が展開しながら、すしを恋しがる気持ちをつづった「鮓が来そうな日」。

 他にも、少年時代の潮干狩りの話から碁が好きだった父、いろいろな貝の食べ方にまで発展する「ヒヨシガリの海」など、味わい深い文章でさまざまな角度から食についてつづる。(筑摩書房 740円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    年収1億円の大人気コスプレーヤーえなこが“9年間自分を支えてくれた存在”をたった4文字で表現

  2. 2

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  3. 3

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  4. 4

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  5. 5

    山尾志桜里氏“ヤケクソ立候補”の波紋…まさかの参院選出馬に国民民主党・玉木代表は真っ青

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  2. 7

    フジテレビCM解禁の流れにバラエティー部門が水を差す…番宣での“偽キャスト”暴露に視聴者絶句

  3. 8

    国分太一は“家庭内モラハラ夫”だった?「重大コンプラ違反」中身はっきりせず…別居情報の悲哀

  4. 9

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒