「『生きものらしさ』をもとめて」大沢文夫著

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 生物物理学者の著者は、「生きものらしさとは何か」を追究してきた。いちばん大切なのは自立的精神で、その背後にあるのは自発性だが、下等生物のゾウリムシが変動する自然環境の中ですみやすい場所を探してあちこち泳ぐのは自発的運動である。そういうゾウリムシの自発性とヒトの自由意思とは隔絶したものではなく、下等な生物から高等な生物に上がっていくときに、自発性について「段階はあるが断絶はない」という。だから、研究者は、自発性がなぜ自由意思になり、なぜ意識が現れ、心が現れたかを研究しなくてはならない。ヒトは特別な存在ではない。ヒトの脳だけを研究していても分からない。

「生きもの」の本質を分かりやすく解説した一冊。(藤原書店 1800円+税)

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