「復讐者マレルバ」ジュセッペ・グラッソネッリほか著、飯田亮介訳
1980年代末から90年代初頭にかけて、シチリア・マフィアの「コーザ・ノストラ」に反旗を翻し、「第5のマフィア」と呼ばれたマフィア組織スティッダがあった。本書はイタリア・マフィアのボスを含めて300人以上の犠牲者を出したスティッダのヒットマンだったジュセッペ・グラッソネッリの衝撃の回顧録である。
1965年、シチリアの港町カーサマリーナで生まれたグラッソネッリ(回顧録ではブラッソ)は幼い頃から盗みを重ね少年ギャング団の頭となり、ついにはドイツに逃亡。潜伏先のハンブルクでいかさまギャンブラーとして名を上げていたが、21歳のとき、一族がコーザ・ノストラの襲撃に遭い殺された。そしてその反撃のためスティッダを結成しヒットマンとなり、92年に逮捕された。
逮捕当時はまともに文章も書けなかったが、獄中で勉学に励み、48歳のときナポリ大学を卒業し本書を刊行。現在も司法取引に応じず服役中である。(早川書房 2200円+税)