「復讐者マレルバ」ジュセッペ・グラッソネッリほか著、飯田亮介訳

公開日: 更新日:

 1980年代末から90年代初頭にかけて、シチリア・マフィアの「コーザ・ノストラ」に反旗を翻し、「第5のマフィア」と呼ばれたマフィア組織スティッダがあった。本書はイタリア・マフィアのボスを含めて300人以上の犠牲者を出したスティッダのヒットマンだったジュセッペ・グラッソネッリの衝撃の回顧録である。

 1965年、シチリアの港町カーサマリーナで生まれたグラッソネッリ(回顧録ではブラッソ)は幼い頃から盗みを重ね少年ギャング団の頭となり、ついにはドイツに逃亡。潜伏先のハンブルクでいかさまギャンブラーとして名を上げていたが、21歳のとき、一族がコーザ・ノストラの襲撃に遭い殺された。そしてその反撃のためスティッダを結成しヒットマンとなり、92年に逮捕された。

 逮捕当時はまともに文章も書けなかったが、獄中で勉学に励み、48歳のときナポリ大学を卒業し本書を刊行。現在も司法取引に応じず服役中である。(早川書房 2200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する