「日本人の9割が知らない遺伝の真実」安藤寿康著
著者が専門とする行動遺伝学の知見によると、知能や性格に加え、さまざまな分野における才能についても、遺伝が大きく影響しているという。ゆえに、家庭における親の子育ての仕方は、子供がどう育つかにあまり影響を与えていないと考えられるそうだ。ただ、遺伝で伝わった才能は、何もしなくても発現するわけではない。遺伝と環境の両要因が働き合って才能は発現するのだが、同じ体験をしたとしても、そこから何が引き出されるのかは人によって違ってくる。そこに遺伝の違いが関わってくるという。
学力や知能に遺伝的影響力が大きいなら勉強は無駄なのか、収入と遺伝の関係など、疑問に答えながら、遺伝の本質を直視した上での教育の役割や社会のあり方を提言する。(SBクリエイティブ 800円+税)