「黒い波紋」曽根圭介著

公開日: 更新日:

 加瀬将造は元刑事。現役時代、個人情報を横流ししていたことが露見し、退職。その後、ダイニングバーを開くが経営に行き詰まり、多額の借金を抱え、妻子にも逃げられる。その後は便利屋のアルバイトをしながら、借金返済と養育費の支払いに追われている。ある日、彼が小学校1年生のときに家族を捨て家を出ていった父親が死んだと知らせを受ける。金目のものがないかと父親のアパートを家捜しすると、毎月どこからか30万円の現金が振り込まれていて、天井裏にはVHSのビデオテープが隠されているのを発見。テープにはあるスキャンダラスな映像が写っており、父親はこれをネタにゆすっていたのではないか。そこに写っているのは地方の有力政治家だと分かり、将造は月30万などとケチなことはいわず、大金をせしめようと画策する……。

 うまく運ぶかに見えたが、政治家一族の権謀術数、30万円の振り込みの真相など、欲と権力が絡み合いながら、意外な方向へと展開していく。江戸川乱歩賞作家の注目作。

(朝日新聞出版 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「ブラタモリ」抜擢の桑子真帆アナ “金髪チャラ系”の大学時代

  2. 2

    巨人に漂う不穏な空気…杉内投手チーフコーチの「苦言連発」「選手吊るし上げ」が波紋広げる

  3. 3

    大の里、豊昇龍の両横綱も戦々恐々…「新怪物」加入で躍進止まらぬ伊勢ケ浜部屋の巨大戦力

  4. 4

    82歳で死去の橋幸夫さんが日刊ゲンダイに語っていた「佐川急便事件」と「統一教会」のバッシング報道

  5. 5

    星野監督は中村武志さんを張り倒した直後、3ランを打った隣の俺にも鉄拳制裁…メチャクチャ痛かった

  1. 6

    御三家の生き残り舟木一夫の“傷だらけの人生”と、兄貴分だった故・橋幸夫さんも太鼓判のサバイバル術

  2. 7

    小祝さくらは「加齢の影響」漏らしていた…ツアー6週連続欠場の深刻度

  3. 8

    (1)身内すらも“監視し欺く”情報統制…機密流出犯には厳罰、まるで落合博満監督のよう

  4. 9

    元幕内照強の“しょっぱい犯罪”に角界も呆れた…トラブル多数現役時代の「ヤンチャ」な素顔

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋