「我が子を殺した男」深谷忠記著
かつて勤務していた武蔵大和署に7年ぶり異動になった刑事の樫村の脳裏に、8年前の事件が蘇る。
その事件とは信用金庫の職員・島内が家庭内暴力に悩み、息子の亮太を撲殺したというものだった。樫村は、3年前に出所した島内が気になる。半年後、島内家から女性の悲鳴が聞こえたと隣人から通報が入った。当直の樫村が駆け付けると、応対した島内は夫婦喧嘩だと弁明。彼の妻も同じ話を繰り返す。2人の様子に不審を抱いた樫村が、島内の制止を振り切り、部屋に入ると男の刺殺体が転がっていた。島内は、侵入した強盗に妻が襲われたので思わず包丁で刺したと話す。(表題作)
劇的結末にア然の佳作を収録したミステリー集。
(光文社 620円+税)