「おふるなボクたち」中島たい子著
泥棒仲間も一目おく橋田は、怖いものなし。最新の警備システムもものともせず、狙った獲物はどんなものでも盗み出す。スーツで仕事をする橋田は仲間から「会社員」と呼ばれていた。狙った女性も必ず自分のものにしてきたが、女性は盗品と違って捨てるのに苦労するので、最近は食指が動かない。
そんなある日、橋田は高校時代の同級生・奈都子と再会し、恋におちる。初めて失いたくないものを手にした橋田は、足を洗い、知識を生かして錠前やセキュリティー機器を製造する会社に就職。結婚を前に、奈都子が新居に選んだ中古物件は、かつて橋田が泥棒に入った家だった。(「家を盗んだ男」)
中古住宅の他、車やレコードなど「古いもの」を主役にした短編集。
(光文社 680円+税)