「崩れる脳を抱きしめて」知念実希人著

公開日: 更新日:

 研修医の碓氷蒼馬が勤務する「葉山の岬病院」は裕福な患者が心静かに最期を迎えるためのホスピスだった。担当した弓狩環はいつ脳出血を起こすか分からない難病の腫瘍に侵されていた。環は巨額の奨学金を返済しなくてはいけない碓氷に、自分の病室の机で勉強してもいいと言う。

 気難しい環は、やがて碓氷に同行を頼んでしばしば外出するようになる。碓氷は自分が環を愛していることに気づくが、研修を終えて広島の病院に勤務していたとき、環が死んだことを知る。岬の病院に駆けつけると、なぜか院長は碓氷が環の担当だったこと、2人が過ごした時間を否定する。あれは碓氷の妄想だったのか。

 甘美な愛のミステリー。

(実業之日本社 1200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘