「崩れる脳を抱きしめて」知念実希人著

公開日: 更新日:

 研修医の碓氷蒼馬が勤務する「葉山の岬病院」は裕福な患者が心静かに最期を迎えるためのホスピスだった。担当した弓狩環はいつ脳出血を起こすか分からない難病の腫瘍に侵されていた。環は巨額の奨学金を返済しなくてはいけない碓氷に、自分の病室の机で勉強してもいいと言う。

 気難しい環は、やがて碓氷に同行を頼んでしばしば外出するようになる。碓氷は自分が環を愛していることに気づくが、研修を終えて広島の病院に勤務していたとき、環が死んだことを知る。岬の病院に駆けつけると、なぜか院長は碓氷が環の担当だったこと、2人が過ごした時間を否定する。あれは碓氷の妄想だったのか。

 甘美な愛のミステリー。

(実業之日本社 1200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い