「重ね地図で読み解く大名屋敷の謎」竹内正浩著

公開日: 更新日:

 江戸市中の面積のうち3分の1以上を大名屋敷(江戸藩邸)が占めていた。中には現在東京大学となっている加賀前田家の本郷上屋敷のように東京ドーム7・3個分の広大なものもあった。その他東京ドーム・後楽園(水戸藩)、新宿御苑(高遠藩)、日比谷公園(佐賀藩)、ホテルニューオータニ(彦根藩)、東京ミッドタウン(萩藩)といった場所は、すべて大名屋敷の跡地である。

 本書は、江戸城跡から始まり浅草橋・両国までの全16コースに分け、各所の大名屋敷跡を紹介する。江戸時代の街路の多くが今も残っているのも東京の特徴。

 本書では江戸城周辺、城南、城西、城北の4地域の安政年間の切り絵図の上に、高低差を表現した現代の3D地図を重ね合わせ、過去と現在の地形を立体的に比較することができる。

 この大名屋敷の配置図を見ていると、徳川家康が江戸という町に仕掛けた深謀遠慮ぶりも透けて見えてくる。コンパクトでオールカラー。ひと味違った東京散歩案内として有用だろう。

(宝島社 1000円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    清原和博氏が巨人主催イベントに出演決定も…盟友・桑田真澄は球団と冷戦突入で「KK復活」は幻に

  2. 2

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  3. 3

    99年シーズン途中で極度の不振…典型的ゴマすりコーチとの闘争

  4. 4

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  5. 5

    日銀を脅し、税調を仕切り…タガが外れた経済対策21兆円は「ただのバラマキ」

  1. 6

    巨人今オフ大補強の本命はソフトB有原航平 オーナー「先発、外野手、クリーンアップ打てる外野手」発言の裏で虎視眈々

  2. 7

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 8

    林芳正総務相「政治とカネ」問題で狭まる包囲網…地方議員複数が名前出しコメントの大ダメージ

  4. 9

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  5. 10

    角界が懸念する史上初の「大関ゼロ危機」…安青錦の昇進にはかえって追い風に?