「道標」今野敏著

公開日: 更新日:

 安積剛志警部補が率いる、東京湾臨海署刑事課強行班第1係・通称「安積班」には、そこに集まった人々が自然と互いに力を合わせたくなる、不思議な結束力があった。そんな現在の安積班が出来上がるまでの、若かりし日々の出来事をつづった短編連作集が本書だ。

 たとえば、警察学校時代に厳しい訓練のなかで挫折寸前に追い込まれた仲間とのエピソードが盛り込まれた「初任教養」、警察学校を卒業した後に中央署地域課に配属された安積が非行少年あがりの若者に慕われる物語「捕り物」、念願かなって刑事課に配属されてすぐに起きた事件に対して安積の原点となる捜査姿勢が見え隠れする「熾火」など、全10編を収録。安積という男が積み重ねてきた日々を読み進めるうち、彼の哲学や魅力の秘密がわかってくる。

 大ベストセラーの安積班シリーズの原点が読み解ける最新作とあって、ファンなら、わくわくすること必至。

 もちろん初めて読む人でも楽しめる内容になっている。

(角川春樹事務所 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手