「作家と楽しむ古典」堀江敏幸ほか著

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 紀貫之の「土左日記」は、学校では「土佐日記」と表記し、ゆえに土佐から京への帰路の旅を日記風につづったものと教えている。しかし自筆原本は「土左日記」であり、あえて音だけ同じ「とさ」としたのは、この物語が最初から虚構であることを示す徴だという。

 また、冒頭は「男が書くという日記というものを女の私もやってみようと思って」と訳されているが、当時、漢字を読み書きできたのは一部の男性だけだった。

 しかし平仮名が生まれたことで女性も表現方法を得たという背景に照らし合わせ、「男が漢字を用いてしるす日記というものを、私はあえて女文字の仮名書きでしるしてみたい」と訳すのがピッタリではないか――(堀江敏幸)。

 古典新訳を手掛けた作家たちが、作品をどうとらえたかを語る古典案内。ほか「枕草子」(酒井順子)、「徒然草」(内田樹)など全5作を収録。(河出書房新社 1400円+税)

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