「薩摩の密偵桐野利秋」桐野作人著

公開日: 更新日:

 薩摩藩士・中村半次郎、のちの桐野利秋(1838~77年)の生涯を新たな視点で描く評伝。

 剣客として「人斬り半次郎」の異名を持つ桐野だが、史料では彼がむやみに人を斬った事例は見いだせないという。幕末の激動のさなか、桐野は神出鬼没の密偵として活躍。薩摩藩の情報戦を支える一方で、藩内に潜入する密偵を探知、排除する防諜活動を行っていたというのだ。

 その諜報活動がもっとも効果を上げたのは一時期激しく敵対していた長州藩に対してだった。有名な赤松小三郎殺害も、防諜活動の一環としての公務だったと思われると指摘。その密偵としての活躍から、維新後の陸軍少将への大出世、そして西南戦争での最期まで。幕末明治のキーパーソンの実像に迫る。

(NHK出版 820円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    長瀬智也が国分太一の会見めぐりSNSに“意味深”投稿連発…芸能界への未練と役者復帰の“匂わせ”

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  3. 8

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  4. 9

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  5. 10

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…