「火影に咲く」木内昇著

公開日: 更新日:

 慶応3年、人斬り半次郎という異名をもつ薩摩の城下士、中村半次郎は、京の四条小橋東詰に店を構える村田煙管店に出入りしていた。その店の娘、さとにひかれていたからだ。さとが「中村様は、ほんまに明るいお方やなぁ。お話ししてると楽しいわ」と言ったとき、常に緊張しているために硬くこわばっていた体がゆるりと溶けるように感じた。

 いつしか男女の関係となり、さとの父も一緒になることを望んでいた。半次郎は「おいはまず、おさとを幸せにせんとならん」と考えていたが、坂本龍馬らが暗殺され、京が焼け野原になるという噂が立ったころ、半次郎はさとと写真を撮ろうと思いつく。(「光華」)

 幕末の志士と女たちが生きた一瞬を描く短編集。

(集英社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  2. 2

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  3. 3

    国分太一が無期限活動休止へ…理由は重大コンプラ違反か? TV各局に全番組降板申し入れ、株式会社TOKIO解雇も

  4. 4

    吉沢亮「国宝」が絶好調! “泥酔トラブル”も納得な唯一無二の熱演にやまぬ絶賛

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題か...大谷の“献身投手復帰”で立場なし

  1. 6

    中学受験で慶応普通部に合格した「マドラス」御曹司・岩田剛典がパフォーマーの道に進むまで

  2. 7

    進次郎農相の化けの皮ズルズルはがれる…“コンバイン発言”で大炎上、これじゃあ7月参院選まで人気持たず

  3. 8

    砂川リチャード抱える巨人のジレンマ…“どうしても”の出血トレードが首絞める

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  5. 10

    「育成」頭打ちの巨人と若手台頭の日本ハムには彼我の差が…評論家・山崎裕之氏がバッサリ