いまどきの女子と男子

公開日: 更新日:

「露出する女子、覗き見る女子」三浦展、天笠邦一著

 草食男子に肉食女子。ちかごろはインスタ女子やらオタク女子もいるそうで……。

 誰もかれも自称「女子」の昨今だが、実は世代その他で違いは大きい。連絡手段として中高年にも人気のLINEは24歳以上のすべての世代で既婚女子の利用率が上。逆にツイッターは未婚が上。他方、フェイスブックは収入の多い上流層の利用が多く、収入が低いとツイッターが多くなるという。また話題のインスタグラムは都会的な消費行動の誇示に適する。

 本書はこれらの特徴をもとに「露出志向」「覗き見志向」「オープン」「クローズ」で4象限を描き、それぞれを詳しく分析する。

 たとえばフェイスブック利用者は若者よりおじさんユーザーが多いが、あえてこれを使う少数派の女子は自分がつくり上げたステータスを誇示し、あえて「露出」するのだという。

 逆にインスタの「ストーリー機能」を好む「ストーリー女子」は格差や上流感よりも「若さとポジティブな『中流感』」だ。社会の人間関係に悩む上司にもよさそう。 (筑摩書房 820円+税)

「なぜ、男子は突然、草食化したのか」本川裕著

 若い男といえば余りある体力と性欲というのは昔の話。いまや若い男は草食化し、女のほうが肉食化している。だが何であれ「突然」はないはず。そこで統計の専門家として長年働いた著者が「統計探偵」となって各種の統計データを探索。すると日本生産性本部が毎年の新入社員に行うアンケートの長期データから、「職場以外の生きがい」項目で2000年ごろを境に「親しい異性といるとき」が十数年で半減していたことを発見。さらに日本人のタンパク質摂取量も同時期から急減していた。

 栄養の面でも「草食化」が裏付けられたのだ。 (日本経済新聞出版社 1800円+税)

「日本のポストフェミニズム」菊地夏野著

 ニューヨーク大学の著名なフェミニスト理論家ナンシー・フレイザーは、従来のフェミニズムが世間の認知を得ようとするあまり、資本主義に楽観的過ぎたと反省した。脇の甘さを新自由主義につけこまれたと批判したのである。本書はこれを受けて日本のフェミニズムと資本主義の関わりを考察する。

 フェミニズムは男支配の社会を告発したが、若い女たちに煙たがられた。それが近年の「ポストフェミニズム」では「セクシーな身体」が女性の「権力の源泉」とも定義される。「女子力」は男に媚(こび)を売るわけじゃないが、男目線の価値観を内面化しただけなら本質は同じこと。

 果たしてフェミニズムは現状肯定の屁理屈に堕してしまうのか、その真価を問う理論書。 (大月書店 2400円+税)

【連載】本で読み解くNEWSの深層

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • BOOKSのアクセスランキング

  1. 1

    暑さを忘れて謎解きに没頭!ミステリー文庫特集(3)プロが厳選する年に1度の短編集 「本格王2026」本格ミステリ作家クラブ選・編

  2. 2

    「身近にあるドラッグ的なものや脱法性に自覚的になることが大切」──「脱法」磯部涼氏

  3. 3

    北村匡平(東京科学大学教授・映画研究者)試行錯誤にこそ、書く歓びがある

  4. 4

    さまざまな無住化した集落──多種多様の廃村の姿を伝える 「廃村大全」浅原昭生著、中田薫編

  5. 5

    コ本や(神楽坂)店主は東京芸大大学院出身アーティストで中原中也賞受賞の詩人

  1. 6

    「史上最強にわかりやすくて面白い ぶっ続け日本史講義10時間」伊藤賀一著/フォレスト出版(選者:中川淳一郎)

  2. 7

    生意気さもツンデレ美少女なら許せる!? 「夫をかわいい女の子にしてみたら」もぐ著

  3. 8

    「安倍晋三 平成・令和の光と闇」服部龍二著/中公新書(選者:佐藤優)

  4. 9

    修繕積立金の怪(1)積立金の上昇はマンションの価格の下落「その家、買ってはいけない」滝島一統著

  5. 10

    BOOKSHOP トランスビュー(新宿区・中井)17坪の店内に百万年書房、共和国など小出版社の本がずらり

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【2026夏の甲子園】初戦で「勝つ高校」「負ける高校」完全予想!横浜vs沖縄尚学の超好カードは…

  2. 2

    支持率急落の高市政権がV字回復画策 内閣改造でクビ切り不可避な“ポンコツ”5大臣の名前

  3. 3

    黒川紀章設計「戦没者慰霊塔」も丹下健三設計「香川県立体育館」も解体…財政難で維持できなくなった名建築

  4. 4

    2026夏の甲子園「優勝校はココだ!」 本紙と専門家が徹底予想、“対抗”含む5校を紹介

  5. 5

    球宴を見ていて腹が立った 「祭り」と「遊び」をはき違えるな

  1. 6

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 7

    「愛子天皇」潰しは賛成で、消費税減税はなぜ反対? 玉木国民民主の「公約違反」がネットで袋叩き

  3. 8

    トランプ大統領もそっぽ 表面化した日米包囲網「反高市」うねり急拡大…2大後ろ盾が剥落

  4. 9

    三男・清水良太郎さん急死で清水アキラ沈痛…8年越しの「父子再共演」が始まったばかりだった

  5. 10

    「朝」「彦」「憲」「恒」…旧宮家に残る皇族意識 養子制度で改めて注目された「通字」