「ある愛の寓話」村山由佳著

公開日: 更新日:

 50代の「私」は、病気のため、人の顔が覚えられなくなった。

 子どもの頃、貿易の仕事をしていた父が外国で買ってきたカエルのぬいぐるみを「エル」と名づけて大切にしていた。エルは誰にも言えない思いを打ち明けられる大切な友達だった。

 大学を卒業して就職したが、過労で体調を崩し、母に勧められて海外旅行に。風景の中にエルを置いて写真を撮っていたとき、カメラをひったくられるが、関西弁の美大生に助けられる。いつもエルを手放さない彼女を、彼は笑わなかった。

 帰国してから2年後に彼と結婚したが、今は彼の顔も名前も分からない。家にいるかどうかも分からない。(「晴れた空の下」)

 ほかに、捨て猫や恋人の飼い犬など身の周りのものに向けた愛を描く6編の短編小説。

(文藝春秋 1870円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍J髙橋宏斗サイドがドジャースと“濃厚接触”!来オフ移籍は「十分ある」の怪情報

  2. 2

    “OB無視”だった大谷翔平が慌てて先輩に挨拶の仰天!日本ハム時代の先輩・近藤も認めるスーパースターの豹変

  3. 3

    橋下徹氏がまともに見える皮肉…米イラン攻撃で馬脚を現した「御用文化人」の逃げ腰と保身

  4. 4

    自民が予算委で“高市封印シフト” 首相が答弁から逃げ回るトンデモ事態にSNSで批判殺到

  5. 5

    競泳アイドル池江璃花子の初ロマンスに見えてくる「2つの夢」…りくりゅうに続くメダルともうひとつ

  1. 6

    元横綱照ノ富士が“弟子暴行”で角界に大激震! 転籍組との微妙な関係、燻っていた「無理やり改名」の火種

  2. 7

    「タニマチの連れの女性に手を出し…」問題視されていた暴行“被害者”伯乃富士の酒癖・女癖・非常識

  3. 8

    Adoの初“顔出し”が話題 ミステリアス歌手の限界と20年非公表の「GRe4N BOYZ」との違い

  4. 9

    日テレの音楽番組は終了も、有働由美子は黒柳徹子の後を継ぐ対談番組の有力候補か

  5. 10

    高市首相側の関与はあったのか? 暗号資産「サナエトークン」が大炎上! 金融庁が調査を検討