「十二月の十日」ジョージ・ソーンダーズ著、岸本佐知子訳

公開日: 更新日:

「十二月の十日」ジョージ・ソーンダーズ著、岸本佐知子訳

 ロビンは、クローゼットから持ち出した父親の白いコートと自分でスプレーした白い長靴を身につけ、空気銃を持って外に出る。今日の「設定」は、地底人に誘拐された転校生スーザンの救出だ。地底人たちは、学校でいじめられているロビンの敵であり友人だ。

 地底人やスーザンとの会話を妄想しながら森を進むと、湖の近くのベンチにコートが置いてあった。気温は零下12度。周囲を見ると丘の中腹にパジャマ姿の男の人がいた。ロビンはコートを持って男の方に向かう。頭の中のスーザンからせかされたロビンは、近道するため凍った湖面を進む。(表題作)

 さまざまな状況で人生の歯車に押しつぶされそうになっている人々を主人公に、奇想と斬新な文体で描く短編集。 (河出書房新社 1320円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘