「十二月の十日」ジョージ・ソーンダーズ著、岸本佐知子訳

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「十二月の十日」ジョージ・ソーンダーズ著、岸本佐知子訳

 ロビンは、クローゼットから持ち出した父親の白いコートと自分でスプレーした白い長靴を身につけ、空気銃を持って外に出る。今日の「設定」は、地底人に誘拐された転校生スーザンの救出だ。地底人たちは、学校でいじめられているロビンの敵であり友人だ。

 地底人やスーザンとの会話を妄想しながら森を進むと、湖の近くのベンチにコートが置いてあった。気温は零下12度。周囲を見ると丘の中腹にパジャマ姿の男の人がいた。ロビンはコートを持って男の方に向かう。頭の中のスーザンからせかされたロビンは、近道するため凍った湖面を進む。(表題作)

 さまざまな状況で人生の歯車に押しつぶされそうになっている人々を主人公に、奇想と斬新な文体で描く短編集。 (河出書房新社 1320円)

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