映画「女が眠る時」で西島秀俊と忽那汐里が見せた新境地

公開日: 更新日:

【大高宏雄「エンタメ最前線」】

 職業柄、俳優の動向には絶えず注視しているが、特に伸び盛りの俳優は新作を見るたびに、新たな発見がある。今日27日公開の「女が眠る時」に2人の俳優の新境地が見られた。

 ひとりが主演の西島秀俊である。スランプ気味の作家の役で、滞在先の伊豆のホテルで知り合った初老の男(ビートたけし)に異様なほど引きつけられる。男が若い女性と一緒にいたからである。

 2人の関係を知るうち、男が見せる女への愛の強烈さに動揺する。それで自身の気まずい夫婦生活があぶり出されてくる。しかも、2人の関係は創作にも刺激を与え始めた。

 西島の暗い風貌から悩みに悩む姿が、次第に色濃くなっていく。彼は実にまっとうな精神の持ち主であるのだが、内面には暗い闇を抱える。初老の男と出会うことで、それが一気に彼の表面に刻まれていくのだ。

 抱え込んだ人間の闇が他者によってあぶり出される。静かだが、沸々と湧き上がるかのような彼の困惑、動揺ぶりが演技の中で的確に表現されていて、目を見張ったのである。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン