ドラマより楽しい? 海老蔵が歌舞伎で“出世巡る男の戦い”

公開日: 更新日:

 サラリーマンであれば、誰もが出世したいだろう。そのために一生懸命に働いている。しかし、仕事で業績をあげた人や、同僚の間で人望がある人が出世するとは限らない。上にゴマをすったり、コネがあったり、世渡り上手な人が出世する。徳川幕府という大官僚機構でもそれは同じだった。

 今月の歌舞伎座では、実力とか人望以外の理由で出世した男を描く、きわめて現代的な芝居が上演されている。

 歌舞伎は「昼の部」「夜の部」があり、それぞれ別の演目なのだが、今月は両方とも昭和に作られた演劇が上演されているので、普段、歌舞伎を見ない人にも分かりやすい内容だ。大河ドラマを見る感覚で楽しめる。

 悪人が出世していく話は、昼の部の宇野信夫作「柳影澤蛍火」だ。徳川五代将軍綱吉の側近、柳沢吉保をモデルにしたもので、1970年に初演された。今回は市川海老蔵が柳澤を演じる。

 貧しい浪人武士だった柳澤は、世の中への復讐に燃え、将軍の生母・桂昌院に取り入る機会を得ると、出世していく。出世のためなら自分が愛する女まで差し出す男でもあり、ちょっと得体が知れない。その柳澤を追い落とそうとする僧・隆光が市川猿之助。何回か2人の対決シーンがあるが、その「冷たい熱演」がいい。綱吉を演じるのは市川中車(香川照之)で、かなり危ないマザコン男を、怪演。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    年収1億円の大人気コスプレーヤーえなこが“9年間自分を支えてくれた存在”をたった4文字で表現

  2. 2

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  3. 3

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  4. 4

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  5. 5

    山尾志桜里氏“ヤケクソ立候補”の波紋…まさかの参院選出馬に国民民主党・玉木代表は真っ青

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  2. 7

    フジテレビCM解禁の流れにバラエティー部門が水を差す…番宣での“偽キャスト”暴露に視聴者絶句

  3. 8

    国分太一は“家庭内モラハラ夫”だった?「重大コンプラ違反」中身はっきりせず…別居情報の悲哀

  4. 9

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒