著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

愚連隊映画で本領 「ネチョネチョ」は松方弘樹の名セリフ

公開日: 更新日:

 東映で一時代を築いた映画スターたちは、何か大きな運命の糸に操られているのだろうか。2014年の末、高倉健さん、菅原文太さんが相次いで亡くなり、それからほぼ2年後、松方さんが旅立った。

 松方さんは、東映ヤクザ映画で大きく羽ばたいた俳優だったというのが筆者の認識だ。剣さばきが抜群だった近衛十四郎さんの長男として、早くから時代劇などで活躍し始めたが、本領を発揮したのは、ある愚連隊映画との出合いであった。

 極めつきの代表作である「仁義なき戦い」(73年)の7年前に公開された中島貞夫監督の「893愚連隊」である。配下に荒木一郎、近藤正臣らがいるチンピラ軍団のリーダー格で、ギラギラした風貌が、あこぎな愚連隊=チンピラ役に寸分たがわず合っていた。

 名ゼリフがある。ラスト近く、「何ぞ、いいしのぎないかな」としょぼくれる荒木一郎に、こう言い放つのだ。

「粋がったらアカン。当分はアカンで。ネチョネチョ生きるこった」。「仁義なき戦い」の悲壮感漂う名ゼリフの数々も忘れがたいが、松方さんといえば、この「ネチョネチョ」にとどめをさす。

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