ムッシュかまやつさん追悼 時代乗りこなした目利き耳利き
「半世紀以上にわたって、第一線の現役ミュージシャンという人は他にいない。たとえるならその時代の大きな波をとらえ、乗りこなした名サーファーといえるでしょう」(音楽評論家の富澤一誠氏)
歌手のムッシュかまやつ(本名・釜萢弘)さんが1日、膵がんのため、都内の病院で息を引き取った。享年78。昨年9月、肝臓がんを公表した際には「絶対復活するから心配しないでください!」と再起を誓い、12月に開かれた堺正章の70歳記念ライブに駆け付け、デュエットを披露。これが最後の公の場となった。
「僕にとって音楽は快楽です。できればそのピークでわけわかんなくなったり、死んだりしたいですね」――。8年前のあるインタビューで語っていたかまやつさん。日系米国人でジャズシンガーのティーブ・釜萢氏の長男として生まれ、幼少期から洋楽に親しんで育ち、青山学院高等部在籍中にロカビリー歌手として一時代を築いた。
その後、60年代は「ザ・スパイダース」にギターなどで参加し、グループサウンズブームを牽引。グループの顔を担った堺と井上順(70)に対し、曲を書いてもり立てた。