親子共演 勸玄君の宙乗りは涙の美談はなく「祝祭」だった

公開日: 更新日:

 それは成功し、久しぶりに歌舞伎らしい歌舞伎を見た気分になった。見せ場の連続で、そのほとんどが過去の歌舞伎の場面を思い出させる。悪く言えばパッチワークなのだが、歌舞伎を知り尽くしている作者と役者が知識と技を総動員して、職人技を駆使して作り上げているので、歌舞伎の集大成といった感じになる。

 勸玄君の登場は2幕目のラスト。初日に見たが、花道をちょこちょこと走りながら出てくるだけで、新しい歌舞伎座始まって以来かと思う盛大な拍手。その後、海老蔵に抱きかかえられての宙乗りは、演劇というより宗教儀式めいていた。そこに、ワイドショーが報じる涙の美談はなく、祝祭だった。
(作家・中川右介)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン