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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

帰ってきた鼻男 阿部寛主演「スニッファー」の鋭敏な演出

公開日: 更新日:

 あの“鼻男”が帰ってきた! 一昨年の土曜ドラマ「スニッファー 嗅覚捜査官」。超人的な嗅覚を持つ華岡信一郎(阿部寛)が、犯行現場などに残されたにおいを嗅ぎ当て、警察と共に犯人を追いつめる異色作だった。21日夜に放送されたのはスペシャル版の新作だ。

 連続殺人事件が発生し、例によって特別捜査支援室の小向(香川照之)から呼び出される華岡。被害者の遺体を調べるうちに、前の事件の犯人が次の事件の被害者となっていることが判明する。しかも彼らは過去の薬害事件に関係していた。

 開発中だったがんの新薬が、効果を確かめるために無断で患者に投与されていたのだ。当時、製薬会社も厚生労働省も責任を取ろうとはしなかった。

 もともとはウクライナで制作されたドラマ「The Sniffer」が原作だ。しかし今回は脚本の林宏司が書き上げた完全オリジナル。刑事である小向が拉致されたり、薬害事件の黒幕が次の総理を狙う元厚労相(西村まさ彦)だったり、警察庁の女性キャリア(波瑠)といったエッジの利いたキャラクターが登場したりと、複雑で厚みのある物語になっていた。

 主演の阿部と相棒役の香川、2人の丁々発止のやりとりは絶好調。さらに8Kカメラで撮影された、美しくて凝った映像も見事だった。無駄なカット、凡庸なカットがひとつもない演出は、「ハゲタカ」「外事警察」などの堀切園健太郎だ。

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