著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

脇役の鈴木京香が主演の波瑠を食う?女性版「相棒」の試み

公開日: 更新日:

 主演は波瑠(26)。脚本が大森美香。これってNHK朝ドラ「あさが来た」(2015年)の組み合わせだ。それが今回は刑事ドラマ「未解決の女 警視庁文書捜査官」(テレビ朝日系)である。しかも変種の刑事物で、主役たちの任務は未解決事件の文書捜査なのだ。ヒロインの矢代朋(波瑠)は熱血刑事。体を張った捜査で負傷し、復帰してみると「特命捜査対策室第6係」への異動が待っていた。

 地下にある元・文書保管倉庫の部屋にいたのは「文書解読」のエキスパート、鳴海理沙刑事(鈴木京香)だ。他に定時退庁が決まりの係長・財津(高田純次)、コワモテの刑事・草加(遠藤憲一)らがいる。

 先週の初回では若い女性の連続変死事件が発生。彼女たちの部屋に、10年前に殺害されたミステリー作家・嶋野泉水(中山美穂)の著作があったことから再捜査が始まった。

 事件の捜査においては同じ捜査1課の第3強行班などが主役で、「文書解読係」の6係はあくまでサポート部隊であり、脇役だ。しかし、その脇役が主役を食うような活躍を見せるところが、このドラマの醍醐味なのだ。

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