「駅馬車」銃撃戦で味付けをした人間再生の痛快ドラマ

公開日: 更新日:

 ここにリンゴを逮捕した保安官の心情と出産後の対立、銀行家の悪事、アパッチの襲来、プラマー兄弟との銃撃などが重箱料理のように積み上がり、痛快なエンディングを迎える。

 銃撃戦も見応えがある。逃げる駅馬車、追いかけるアパッチ。銃弾が尽き、賭博師はもはやこれまでと、神に祈る夫人に銃口を向ける。そこに響く騎兵隊のラッパ。ローズバーグの町では陰影を巧みに使った映像に、3対1の決闘を見守る人々の緊張感がみなぎっている。

 わずか99分の中に人間ドラマと銃撃を無駄なく詰め込んだ傑作。その完成度の高さは公開から79年経った今もいささかも色あせていない。やはり先達のわざは偉大だ。 (森田健司)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する