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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

ニュースショーは“かわら版屋” 何の役割を担っているのか

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 お世話になったワイドショーのレギュラー出演も終了し、正直に言うと実はやれやれと思っている。こんな未曽有の豪雨大災害時に、コメントを求められても社会に対して何を提言すればいいのか分からないし、洪水の専門家でもない人間はただただ、絶句するしかないのだ。某局の昼ワイドを見たら、タレント司会者が中継でつながっている広島の被害地の自宅から命からがら逃げて助かったという年寄りに、「××さんはなんで避難しようと思われたんですか?」とバカなことを聞くと、その老人は「なんでって、玄関に泥水が入ってきたんで」と呆れながら返事に窮していた。浸水してきたんだから逃げて当たり前だろう。聞かなくていいことだ。それより、最初の町の警報にどこまで危険を感じていたのか? 地元テレビやラジオはどんな情報をくれていたのか? 町や市の行政庁からの警告や命令はどんな具合だったか。そういうことを、疲れ切っていても取材に協力してくれているその老人に、短い時間でもしっかり聞き出すのが司会者だろうが。

 ここ20年、いろんなワイドショーに出演してきたが、ニュースショーとは結局、何の役割を担っているのか? 被災地と日本中をつなぎとめて、何を共有すればいいか、考えてみたら、ただの“かわら版屋”か、と痛感した。「大変でしたね」と中途半端なねぎらいだけで終わってはどうしようもない。なのに、被災者のためになることを言えないまま、呆然とやり過ごしてきた自分が改めて情けなくてならない。

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