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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

ハンパない、神ってる…安っぽい造語は死語になってほしい

公開日: 更新日:

 耳に入っただけで、その相手と会話をしたくなくなる「嫌な言葉」がはやっている。「ハンパない」や「神ってる」。始末に負えないし、品がない。言葉本来の意味を大切にしないからか、元から知らなかったのか。言語道断で浅はかな語句のオンパレードだ。メール世界で女子高生らがまかり通す、一時言葉は仕方がないにしても、その辺の大人がこんな貧相でペラッペラな言葉を使うと今やすぐ拡散されて、味のない言葉でももてはやされる。物書きはなるべく無視して使わないように抵抗しているのだが、横で見知らぬ誰かがまた平気で口にするので、気分まで腐ってしまうのだ。

 W杯がらみで日本チームの誰かの技を称えたつもりの「ハンパない」という粗製語には辟易する。今までの辞書には「半端」しかない。することに抜かりがあるさまをいう。そこに、「ない」を付け足して「完全である」とか、「間抜けでない」というわけだ。だったら、初めから「完璧だ」とか「ちゃんとしている」でいいだろ。こんな造語を最初に言い出したのが東京人なのか九州人だったのかそれは知らないが、実はもう何十年も前からあった嫌な言葉だ。「あそこの店のカレーはハンパない味です」と高校生タレント俳優が自分はどんな味も分かってるふうな「半ちく」な面構えで偉そうに言った瞬間を思い出したのだ。はやり言葉に振り回されるほどみっともないことはないし、自分に似合っていない語句では自分を表せないし、人にも誤解されてしまうだけだ。味もそっけもない言葉だ。ちなみに「半ちく」は中途半端、半人前の意味。相手を揶揄する面白い差別語だが、さすがに使われなくなったようだ。

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