てれびのスキマ 戸部田誠
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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

古舘伊知郎の真骨頂はギリギリのラインを狙うフレーズの力

公開日: 更新日:

 ブルーハーツがスタジオに登場すると、古舘は「すでにスタジオ内方向感覚を失っているブルーハーツ!」と得意の実況風フレーズであおる。だが、インタビューの段になると調子がズレていく。古舘の質問にヒロトがはぐらかすようにあさっての方向の返答を繰り返す。やりとりの間も古舘が「俺もタジタジ」と思わず発している。

「情けない(笑)。もう反省してもしょうがないけど、間が怖いから『タジタジ』と言ったんでしょうね」(集英社「週刊プレイボーイ」15年2月25日号)と述懐する。

 彼らがスタンバイに入ると、「ちゃんと歌えるんですか?」と言う芳村真理に対し、古舘は「これで歌えなかったら、ただのチンピラですもの」と捨てゼリフのように吐いた。この言葉が一部では何も分かっていない世代間の断絶の象徴などと批判にさらされる。

「完全に覚えていない」ほど無意識に言った言葉だが、「ウケ狙いしなきゃ」という意識で言ったのだろうと振り返っている(同前)。その後、「リンダリンダ」を披露した彼らのパフォーマンスは、最初は半笑いで見ていた他のゲストたちが、演奏後は総立ちになって大きな拍手と歓声を送るほど圧巻のものだった。

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