「駅 STATION」高倉健と3人の女が織りなす別れのドラマ

公開日: 更新日:

 桐子はちょっとお人よしの女。三上と同様に孤独を抱え、ささやかな幸せを求めている。だから三上は警察を辞して桐子と生きる道を選ぶ。

 だが運命は冷酷だ。桐子のもとに立ち戻った情夫は同僚を殺した仇だった。かくして三上は恋人から警官の顔に変貌。一発の正義の銃弾が彼と桐子の希望を打ち砕いてしまった。恋人の情夫を撃った男と撃たれた女。恨みはなくても、深い溝は埋めようがない。

 最後の居酒屋の場面で三上が声を出して列車の時刻を調べるのは桐子を札幌に誘っているのかもしれないが、彼女は振り返ろうとしない。八代亜紀の「舟唄」を聴く桐子の頬を流れる涙が、観客の胸にやるせない余韻をもたらすのだった。

(森田健司)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較