名匠ロブ・ライナー“1人3役” 意欲作「記者たち」への思い
映画「スタンド・バイ・ミー」「恋人たちの予感」などのロブ・ライナー監督(71)が、作風をガラリと変えた新作で話題になっている。映画「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」(3月29日・金からTOHOシネマズシャンテ他で全国公開)はイラク戦争で、ブッシュ政権の大義名分「大量破壊兵器の保持」を疑い、でっち上げだと暴いた中堅新聞社の記者たちの実話。来日中のライナー監督に聞いた。
――この作品を企画・製作し、監督し出演まで携わった動機は何ですか?
「2003年に米軍の『衝撃と畏怖』作戦の始まった頃、いつもモヤモヤした気持ちでいたんです。自分の子どもが路上に飛び出し、トラックにひかれそうになっているのに、何もできないでいるような無力感、フラストレーション。政府というものが、いかにプロパガンダを使い、嘘をついて国民を欺くものなのか。それを野放しにするとどうなるか、私たちは歴史から十分学んできたはずなのに、またその繰り返しを目の前で見てしまった。それで映画化へ向け試行錯誤するなか、真実をつかみ、伝えようとしながらも、一般の方まで届けることができなかった4人の記者たちの存在を知りました。健全で独立したメディアが我々の民主主義にどれだけ必要なものか、警鐘にもなればと思ったのです」