名匠ロブ・ライナー“1人3役” 意欲作「記者たち」への思い

公開日: 更新日:

 ――そのメディアは世界的にますますの劣化が指摘されています。

「さかのぼると、約50年前、CBSテレビで『60ミニッツ』というニュース番組のスタートがあると思います。もともとニュースは誰もが受けられる公的サービスのように見られ、テレビ局はたとえ赤字になってもそれを流す義務があるかのように捉えていたのですが、この番組から、ニュースは扱い方によって収益性が上がる商品となっていった。それでニュースメディアが大企業の傘下になり、のみ込まれ、収益性を最優先する企業や株主に縛られていきます。だから権力の監視という本来の役割をまっとうしにくくなっているのは、知っておくべきだと思います。政権批判などはそれなりの覚悟が求められ、フリーではないのです」

 ――今後メディアの機能不全がますます加速していく可能性もあると。

「記者が独立性を持って真実を見つけ、民衆に届けることができなければ、ディザスター(大惨事)が起こりかねない。危険な状況が目前というのに『そんなものはないんだ』と権力者が強弁し、知らん顔なのですから。それは本当なのかと常に権力側に問い続け、アカウンタビリティーを確保しなければならないのに、そこが危ぶまれている。米国のみならず、世界で次々に強権主義者が現れ、専制政治をはじめているのも、これと無関係ではないでしょう」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  2. 2

    ヤクルト村上宗隆「メジャー430億円契約報道」の笑止…せいぜい「5分の1程度」と専門家

  3. 3

    1年ぶりNHKレギュラー復活「ブラタモリ」が好調も…心配な観光番組化、案内役とのやり取りにも無理が

  4. 4

    回復しない日本人の海外旅行…出入国数はGWもふるわず、コロナ禍前の半分に

  5. 5

    故・川田亜子さんトラブル判明した「謎の最期」から16年…TBS安住紳一郎アナが“あの曲”を再び

  1. 6

    「リースバック」で騙される高齢者続出の深刻…家を追い出されるケースも

  2. 7

    眞子さん極秘出産で小室圭さんついにパパに…秋篠宮ご夫妻に初孫誕生で注目される「第一子の性別」

  3. 8

    田中圭にくすぶり続ける「離婚危機」の噂…妻さくらの“監視下”で6月も舞台にドラマと主演が続くが

  4. 9

    千葉工大が近大を抑えて全国トップに 「志願者数増加」人気大学ランキング50

  5. 10

    三山凌輝活動休止への遅すぎた対応…SKY-HIがJYパークになれない理由