著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

窪田&柚希コンビの圧倒的存在感で魅了「唐版 風の又三郎」

公開日: 更新日:

 凜とした立ち姿の柚希は少年と艶めかしいエリカを往還。深紅のドレスでの情熱的な歌とダンスは見事。

 脇を固める俳優陣がまた豪華。織部たちが踏み迷う「死の世界」の奇怪な人物たち。教授(風間杜夫)、淫腐(金守珍)、珍腐(石井愃一)、乱腐(六平直政)。

 石井は蜷川幸雄演出の常連で唐戯曲とは相性ピッタリ。金守珍の盟友で状況劇場出身の六平は、まるで水を得た魚のように破天荒なアングラ役者っぷりを発揮する。

 風間と狂言回し役の山崎銀之丞はアングラ演劇と一線を画したつかこうへい門下であるが、初挑戦の「アングラ芝居」を喜々として演じ、特に風間の毒々しさ、パワフルさは圧巻。

「夜の男」役の北村有起哉の不気味なユーモア、スケバン役の江口のりこの歯切れのいいセリフとこぼれるような色香。

 超豪華な宇野亞喜良の美術も特筆もの。巨大なカタツムリ、指さしマークなどのオブジェは寺山修司が好んで使ったもので、2人のアングラの巨人の魂が交差した舞台ともいえる。テント芝居に負けないスペクタクルとカタルシスを喚起する金演出を称えたい。3時間。3月3日まで。8~13日は大阪・森ノ宮ピロティホール。 

★★★★

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃