著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

劇団東演創立60周年記念「マクベス」役者の身体性で魅了

公開日: 更新日:

 夫にダンカン王(島英臣)の殺害をたきつけるマクベス夫人は神野三鈴。罪の意識に耐えかね追い詰められていく狂乱の演技は身震いするほど。

 マクベスに妻子を殺されたマクダフ(南保大樹)と敵を欺くために本心を明かさないダンカン王の遺児・マルコム(木野雄大)、劇団の次代を担う2人の腹を探り合うシーンの力感あふれる演技の応酬、破局に向かって突き進むうねるような演出が見事。

「きれいは汚い。汚いはきれい」という魔女の言葉は今回「悪は善。善は悪」と訳された(翻訳は佐藤史郎)。

「国というよりは、もはや墓場。民衆は馬鹿者でもない限り笑いをなくしました。(略)どれほど悲惨な事件が起きようと人は眉一つ動かさないのです」という劇中のセリフはマクベスの暴政を表したセリフだが、それは今の日本にも通じる。

 自信と余裕をなくし、猜疑(さいぎ)心と敵愾(てきがい)心だけが肥大化している今の日本人は魔女の口車やマクベス夫人の挑発にたやすく乗せられるに違いない。マクベスの悲劇は私たちの危うさを内包しているのだ。

 4月7日まで、三軒茶屋・シアタートラム。

 ★★★★

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    小栗旬がハリウッド“資本”映画で主演も… トラウマ級の英語力と「スター」への高い壁

  2. 2

    ベネズエラ戦惨敗は井端監督の「自業自得」…リリーフ崩壊は昨年末から始まっていた

  3. 3

    侍J選手を“殺した”井端監督の偏重起用、場当たり、塩漬け…こうして結束力に亀裂が生じた

  4. 4

    大谷も「勝てる要素のある試合」と悔いた 侍J最悪のWBC8強止まり…井端監督チグハグ采配の痛恨

  5. 5

    元EXILE黒木啓司がLDHを離れたワケ…妻のド派手すぎるセレブ生活が遠因か

  1. 6

    「ガキ使」の没個性化が進む? 松本人志の“週替わりCM”で「本編」が希薄化の危機

  2. 7

    「国宝」日本アカデミー賞10冠の陰で…森七菜“最優秀助演女優賞”逃した不運と無念

  3. 8

    トランプ米国にすり寄る高市首相の寿命を“値踏み”…自民党内で加速する派閥再興へのシタタカな計算

  4. 9

    小沢一郎氏に聞いた(前編)衆院選での中道惨敗、自身まさかの落選と今後

  5. 10

    国立大学なら入学辞退率がゼロに近いはずだけど実態は? 有名私立と天秤にかけられる意外な大学