茨木のり子にいわさきちひろ…それぞれの生き方を貫いた女性たちが建てた家「女性が建てた家と間取り」田中厚子、松下希和著

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「女性が建てた家と間取り」田中厚子、松下希和著

 女性が社会的地位と経済力を得て自宅を建てることが画期的であった大正から昭和の時代に、女性が施主となって建てた家を紹介するビジュアルブック。

 戦前、女性は建築教育を受けられなかったが、戦後は女性建築家も登場し、設計に携わるようになった。まずは女性施主が、女性建築家とともに家を建てた例を取り上げる。

 詩人・茨木のり子(1926-2006)の家は、彼女が32歳のときに、建築家だったいとこの静子とともに計画して1958年に完成。

 東京郊外の高台に立つその家は、主な生活空間は2階で、1階は当時の住宅で珍しい大きなピロティになっている。2階は、10畳足らずの居間兼食堂、夫婦の書斎、そして寝室があるだけのこぢんまりとした家で、その隅々にまで住み手の美意識の高さと丁寧な生き方が表れている。

 画家・いわさきちひろ(1918-1974)は、現在、ちひろ美術館が立つ土地に建てた平屋の家に、義両親との同居や実母の介護など、ライフスタイルの変化とともに増改築を繰り返してきた。

 その増改築や長野の山荘を手掛けたのは、東京芸術大学建築科を女性として初めて卒業した奥村まことだった。

 ほかにも、アイドルだった水の江瀧子(1915-2009)が人気絶頂の21歳のときに建てた「ターキー御殿」(新宿)や、恋の相手が代わるたび家を新しくし、生涯で12軒の家を建てた宇野千代(1897-1996)など13人の家を、見取り図や部屋の各所などイラストを交え解説。

 どの家も、従来の家父長制度に基づいた空間構成から抜け出し、それぞれのライフスタイルを実践する場となっている。家づくりの工夫や先進的なその生き方にまで触れられる好著。 (エクスナレッジ 1980円)

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