1932年福岡県生まれ。早稲田大学文学部ロシア文学科中退。66年「さらばモスクワ愚連隊」で小説現代新人賞、67年「蒼ざめた馬を見よ」で第56回直木賞。76年「青春の門 筑豊篇」ほかで吉川英治文学賞を受賞。2002年には菊池寛賞、09年NHK放送文化賞、10年毎日出版文化賞特別賞を受賞。本紙連載「流されゆく日々」は16年9月5日に連載10000回を迎え、ギネス記録を更新中。小説以外にも幅広い批評活動を続ける。代表作に「風に吹かれて」「戒厳令の夜
」「風の王国
」「大河の一滴
」「TARIKI」「親鸞
」(三部作)など。最新作に「新 青春の門 第九部 漂流篇
」などがある。
連載12350回 座右の書は新聞コラム <3>
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(昨日のつづき)
<天声人語>といえば、朝日新聞、と誰もが知っている。<河北春秋>といえば、「河北新報だな」と連想がはたらく。茨城新聞もそうだ。<いばらき春秋>である。新聞社の社名がはいっているコラムのタイトルはわかりやすいが、大多数の新聞は、それぞれに凝った題名がついていて、社名を見て、「なるほどなあ」と感心するところがある。
しかし紀伊民報の<水鉄砲>となるとタイトルの背後にある志はわかるが、社名をすぐに連想するわけにはいかない。だからこそ面白いのだ。
<斜面>というタイトルも、凝ってるなあ、と思わず微笑する。斜に構えている執筆陣の表情が目に浮かぶようだ。いかにも信濃毎日新聞らしい構えである。
<春秋>も目立つ。西日本新聞はズバリ「春秋」。<河北春秋>は言わずと知れた河北新報。上毛新聞の<三山春秋>は郷土にちなんだ名称だろうか。
中日新聞も<中日春秋>だ。そういえば全国紙の日本経済新聞も<春秋>だった。
ローカル色を感じさせるのが琉球新報の<金口木舌>。キンコウボクゼツと読む。沖縄タイムスは<大弦小弦>。
正攻法なら四国新聞の<一日一言>。そのまま本になりそうだ。日本海新聞の<海潮音>は、潮騒の音がきこえてきそうな詩的な標題である。海のイメージなら徳島新聞の<鳴潮>も、らしいタイトル。
いかにも歴史を感じさせるのが、奈良新聞の<国原譜(くにはらふ)>。
神戸新聞はきっとモダンな題名だろうと予想していたが<正平調>。中国新聞の<天風録>とならぶクラシックな構え。
四国新聞の<一日一言>は、キセルを持った銀髪の長老を連想する。
スラッとくだけた感じのタイトルが長崎新聞の<水や空>。
真正直な感じの<東西南北>は大分合同新聞。
室蘭民報の<忙中閑>は、うらやましい限り。高知新聞の<小社会>。庭でクジラを釣る高知にしてはおとなしいイメージだ。
新潟日報は<日報抄>と、何のケレンもない正直さ。
東奥日報と北日本新聞は共に<天地人>で、両方を読みくらべたら面白いだろう。
千葉日報は<忙人寸語>。お忙しい中をすみません。
(この項つづく)
――協力・文芸企画



















