「十三人の刺客」続く残酷描写 長すぎる35分間の斬り合い

公開日: 更新日:

 それでも家臣はこの暴君を守らねばならない。おそらく半兵衛は斉韶に仕えることをばかばかしく思っているだろう。彼は新左衛門とは剣術道場のライバル同士で、出世も競い合った。いま正義は新左衛門にある。だが武士であるかぎり、主君がいかに非道でも忠義を尽くさなければならない。サラリーマンでいえば、社員への嫌がらせが好きな2代目バカ社長の尻ぬぐいに負われる古参の重役だろうか。

 斉韶がいやというほど残酷なため、新左衛門らが起ち上がる姿に拍手したくなるが、最後の決戦はやや疑問だ。刺客はわずか13人。敵は200人以上。爆薬や牛の暴走のゲリラ戦で敵を翻弄するまではいいが、その後の35分間の斬り合いは長すぎる。斬っても斬っても敵が押し寄せる。死闘が続くほどリアリティーが希薄になり、ラストの新左衛門と半兵衛の一騎打ちでは感覚が麻痺して面白さが半減してしまう。何事もやり過ぎは逆効果。短縮が無理なら、せめて一騎打ちの前に回想シーンなどを差し挟んで観客の感性を初期化するべきだった。

(森田健司/日刊ゲンダイ

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景