著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

今こそ「拒否する自由」について考えようじゃないか

公開日: 更新日:

 久しぶりに血が騒いで、心がワクワクしている。香港で若者を中心に200万人規模の街頭デモが連日続いているからだ。50年前の10・21国際反戦デーの時の大阪の御堂筋での学生暴動デモが脳裏に蘇ってきた。当時、こっちはまだ高校2年のガキだったけど、夜、その大騒乱に一歩でも近寄って列に加わりたくて、友人とドキドキしながら近鉄線に乗って出かけていったことがあった。

 もちろん、親にも誰にも内緒。学校にバレたら、すぐに退学処分を食らうからだった。退学させられたら自分の将来もなくなりそうで、それが余計にドキドキした。「沖縄の基地から北べトナムの空に、今日も米軍のB52爆撃機編隊を送り出す戦争犯罪に加担してるのはどこの国なんだ! 日本だろうが! 断固阻止!」と、当時の大学生や高校生らは気勢を上げ、デモ行進した。ゲバ棒を掲げて、火炎ビンまで忍ばせて……。

 我らも梅田の街頭に行くなり、黒ヘルメットの大学生の兄ちゃんから「おまえらも持て!」とゲバ棒を突き出されて、たじろいだのを覚えている。持った瞬間から、凶器準備集合罪で機動隊に追われるからだ。ここで検挙されたら今までの適当に楽しかった青春は終わってしまうのか、その後はどんな世界が待っているのか、不安と希望のふちに立たされたようだった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ