海原はるか・かなたの海原はるかさん ハゲギャグ誕生秘話

公開日: 更新日:

 フー! と相方のかなたさんが勢いよく息を吹くと、薄毛がなびいて大爆笑。そんなハゲギャグでお馴染みの海原はるか・かなたのはるかさん(72)。周りに助けられた苦労時代を経て、ハゲギャグが生まれた瞬間の秘話を詳細に語ってくれた。

  ◇  ◇  ◇

 大阪万博の年の1970年8月11日、梅田の劇場でデビューしました。私らはペーペーで当時所属していた事務所の社長から「おまえらはおもろないねんから、お客さんが笑わんでも毎席、ネタだけは替えなあかん。おまえらは一生懸命やってる姿をお客さんに見せられたらそれでいい」と教えられました。

 だから、舞台では必ず違うネタをやって出番も最初でしたから、ウケなくても一生懸命やってましたよ。

 いろんな人に応援していただき、助けていただいてきましたから、そんなに苦労はしてなかったですね。住んでたアパートの近所にある洋食のレストランにちょくちょく食べに行っていたら、そこのマスターが僕らの舞台を見たことがあって「君、漫才師やな? お金ないやろ」と。「はい、まだそんなに稼いでないです」と僕。「9時すぎにおいで」と。どういう意味かな? と思ってある夜9時に行くと、その店は9時に閉店するようで、その後スタッフが賄いを食べるんです。「これ食べ? お金いらんから」とマスターがいつもただで賄いを食べさせてくれました。

 そのレストランではお客の方とも知り合いになり、「金ない時は俺に言え。貸してやるから」と言ってくれて、たまに貸してくれました。その方とは今もお付き合いがあるんですよ! 

 そのレストランは今も存続していてマスターは亡くなりましたが、奥さんと息子さんがやられてます。

 のちに新聞に「このお店にはデビューの時からお世話になってます」と僕が話した記事が載ったことあります。そしたらダウンタウンの浜ちゃんがある番組の街歩きするロケの時、その店で「ここのレストランでメシ食うたら、ハゲんねんな」とシャレで言ってくれたらしいんです(笑い)。

 ハゲといえば、僕らのターニングポイントといえるネタですわ。ハゲ出したのが45歳くらい。それまでずっとテレビに出られず、「テレビに関わることはないのかな」と諦めかけてた頃でした。お風呂で頭を洗っても抜け毛が排水口をふさいでお湯が流れない。「ハゲてきたなぁ」と実感してましたけど、だれにも気づかれないようごまかしてました。当時出ていた浪花座の劇場でも楽屋の風呂場にカギを掛けて髪形をセットしてたんです。

 横山たかし・ひろしさん、酒井くにお・とおるさんと僕らが同じ楽屋になった日のことです。横山たかしさん(故人)が楽屋話で盛り上がるのが好きな方で、その日もしゃべって僕らや、くにお・とおるさんにウケてるんですよ。

 次にくにお・とおるさんも話して盛り上げて次に僕らの番。僕は楽屋話が得意じゃなかったんですよ。でも、ここで盛り上げなかったらテレビに出てる2組から、「やっぱりテレビに出てない芸人は楽屋でもおもろないねんな」と思われるのはイヤだった。それでハゲてきた髪を思い切ってオールバックにしてみせたんです。戦国時代の落ち武者のイメージ。

 そしたら楽屋がドッ!と盛り上がった。みんな僕がハゲかけてると知らないから。僕としてはウケてホッとしました。

■夫婦がドライヤーの貸し借りでケンカするネタの途中で…

 たまたまその日に舞台でやる漫才が、夫婦がドライヤーの貸し借りでケンカする設定のネタでした。舞台に出ると、ネタの途中で相方がアドリブで、「ドライヤーで何すんねん?」と突然、台本とは違うせりふを言ってきた。僕が「そりゃ濡れた髪を乾かすんやろ」と慌てて返すと「そんなのいらんやろ。俺に言え!」と相方が僕の頭をフッ! と吹いたんですよ。

 僕の髪がまくれた瞬間から、今でも覚えてますけど、お客さんの笑い声が1分くらい止まらないド爆笑でしたよ。あのギャグが生まれた瞬間です。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  3. 3

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  4. 4

    朝ドラ「あんぱん」豪ちゃん“復活説”の根拠 視聴者の熱烈コールと過去の人気キャラ甦り実例

  5. 5

    “Snow Manの頭脳”阿部亮平は都立駒場高校から“独学”で上智大理工学部へ 気象予報士にも合格

  1. 6

    長嶋一茂が晒した「長嶋家タブー」の衝撃!ミスターとの“今生の別れ”、妹・三奈との根深い確執も赤裸々

  2. 7

    手ごたえのない演奏を救ったのは山下達郎 弱冠22歳の雄叫びだった

  3. 8

    パワハラ報道の橋本環奈"人気凋落"が春ドラマで鮮明に…一方で好感度上げたのは多部未華子

  4. 9

    いとうあさこだけでない「育ちの良さ」が隠せない50代女芸人…“実家が太い”“隠れ高学歴”の強者も

  5. 10

    貴乃花の次女・白河れい「事務所退所」…“親の力を借りない”妹と長男・花田優一の現在地

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 3

    長嶋一茂が晒した「長嶋家タブー」の衝撃!ミスターとの“今生の別れ”、妹・三奈との根深い確執も赤裸々

  4. 4

    “Snow Manの頭脳”阿部亮平は都立駒場高校から“独学”で上智大理工学部へ 気象予報士にも合格

  5. 5

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  1. 6

    手ごたえのない演奏を救ったのは山下達郎 弱冠22歳の雄叫びだった

  2. 7

    長嶋茂雄さんは助っ人外国人のセックスの心配もしていた。「何なら紹介してやろうか?」とも

  3. 8

    父の死去で長嶋一茂は“天然キャラ”封印…KY発言に噛みつく「不謹慎警察」のエジキになる恐れ

  4. 9

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  5. 10

    「ルンバ」のアイロボット社に事業継続困難疑惑…代表執行役員社長が舞台裏を説明