著者のコラム一覧
三枝成彰作曲家

1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。

インパール作戦を描いたNHK朝ドラ「エール」への不満

公開日: 更新日:

 NHKの連続テレビ小説「エール」がインパール作戦が展開されていたビルマでの戦闘シーンを描き、話題になった。この枠は女性を主人公にすることが多いため、戦場を描くことはまれだ。それが今回は朝食の時間帯であっても、銃弾や砲弾が飛び交うシーンを丹念に描いた。視聴者の多くは、さぞ驚かされたことだろう。

 今作の撮影は、新型コロナウイルスの影響で2カ月半もストップしている。その間に描写もより鮮烈になるように書き直したと聞く。東条英機内閣の閣僚のひとりでA級戦犯に加えられていた岸信介を祖父に持つ安倍さんが退陣したことも追い風になったのかもしれない。

 戦場に駆り出された若者の多くが命を落とすことになった元凶は、国策を誤った当時の権力者にある。そのことがクローズアップされかねない戦争表現は、安倍さんにとって歓迎すべきものではないだろう。政権が続いていれば、制作陣にプレッシャーを与える可能性はあったと思う。

 私が団長を務める六本木男声合唱団ZIG―ZAGでは2011年から有志を募り、かつてのアジアの激戦地を巡る慰霊献歌の旅を行っている。インパール作戦の舞台となった白骨街道とアラカン山脈も訪れた。今なお行くこと自体が困難な場所であり、道なき道を満足に食事も与えられず重装備で行軍を強いられて亡くなった方々のことを思うと、いたたまれなくなった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった