著者のコラム一覧
三枝成彰作曲家

1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。

インパール作戦を描いたNHK朝ドラ「エール」への不満

公開日: 更新日:

 かの戦争中にアジア各地で亡くなった日本人は350万人といわれ、110万柱の遺骨がいまだに収集されていない。朝ドラの戦争表現が、そんなひどい現実を知るきっかけになれば、意義深いものとなるだろう。

■古関裕而は戦後も精力的に曲を作り続けた

 ただし、主人公の描き方については、不満が残る。モデルとされる古関裕而は音楽で戦争に協力した。数多くの軍歌を作り、若者を戦地に送り込む手助けをした。劇中では、それを悔いて自責の念に駆られるシーンがあったが、果たしてどうだろうか。彼は戦後も精力的に曲を作り続けた。あの山田耕筰も100曲以上の軍歌や戦時歌謡を書いている。これは他の先進国では考えられないことだ。

 ドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウスやオランダの指揮者ウィレム・メンゲルベルクは、ナチに協力したことで活躍の場を失った。ムソリーニに協力したイタリアの作曲家ピエトロ・マスカーニは全財産を没収されている。

 日本人は寛容で「水に流す」という考えがあり、過去の罪を厳しく問うことは少ない。戦争を主導した面々も、終戦時には多くの文書を処分し、証拠を隠滅した。その悪しき伝統は今も残っていて、安倍政権では文書の改ざんや処分が当たり前のように行われた。戦争のけじめをつけないまま、75年もの時間を過ごしてきた弊害は大きい。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    活動終了「嵐」メンバー「消える人」と「生き残る人」…“一番先行きが厳しい”のは?

  2. 2

    Netflixで話題「古畑任三郎」 伝説の神回《動機の鑑定》に描かれる古美術界のリアリティーに迫る

  3. 3

    松尾雄治さん(1)ゴルフ場で意識を失う…「気が付いたら病院のベッドでした」

  4. 4

    メジャー屈指の不人気球団が佐々木麟太郎を指名…“銭ゲバ”マーリンズの黒歴史

  5. 5

    ビートルズよりもストーンズよりもすごいバンド、ラトルズ!

  1. 6

    女性を巡る愛憎より友情が勝った永遠のバディー

  2. 7

    “スジ悪”すぎる副首都法案のボロが露呈…国会審議で維新の「大阪ありき」に集中砲火

  3. 8

    48年ぶり映画出演の由美かおるさんが語る 人生が変わった瞬間「11PM」「水戸黄門」エピソード

  4. 9

    はつらつプレーで4人に音楽の喜びを取り戻させた陰のMVP

  5. 10

    木原稔官房長官「国会会期延長必要ない」が波紋呼び修正…失言連発で“調整役”として機能せず