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児玉愛子韓国コラムニスト

韓流エンタメ誌、ガイドブックなどの企画、取材、執筆を行う韓国ウオッチャー。新聞や雑誌、Webサイトで韓国映画を紹介するほか、日韓関係についてのコラムを寄稿。Webマガジン「オトナの毎日」でイラストエッセー【毎日がエンタメ】を連載中。

鬼才キム・ギドク監督は韓国で嫌われラトビアで亡くなった

公開日: 更新日:

 作品の多くは残虐な「暴力」と「欲望」にあふれ、韓国では不人気だった。過去には大物俳優から出演を断られたこともある。だが一方で、出演を希望する役者も増えていった。春に日本で公開された問題作「人間の時間」にはチャン・グンソクも出演し、激しい濡れ場を演じている。

■世界で評価されるも#MeTooで転落

 そんなキム・ギドク監督の人生を大きく変えたのが2018年のMeToo運動だ。複数の女優から暴行やレイプ、ベッドシーンの強要などを告発され、韓国でのイメージは地に落ちた。監督は否定し、メディアや女優を訴えたが敗訴。「人間の時間」も韓国では上映禁止となり、映画製作を続けるのは困難となった。

 アカデミー賞の授賞式でスピーチするポン・ジュノ監督の姿をキム・ギドク監督はどんな思いで見ていたのだろう。異国の地で亡くなっても「自分の罪を認めずに逃げた男」といわれ、韓国の女性たちの目は冷たい。「パラサイト」の英語字幕を担当したアメリカ人の映画評論家も追悼を拒否。輝かしかったはずの人生は、監督自身が描いてきたような救いのない結末を迎えた。

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