南北問題を描いた「愛の不時着」を北朝鮮はどう見たのか

公開日: 更新日:

 茂木敏充外相も全話見たという韓国ドラマ「愛の不時着」(2019年)。日本のメディアでも大絶賛され、人気となったことは記憶に新しい。恋愛物としての展開は古典的だが、ドラマを盛り上げる舞台装置として南北問題を巧みに使っている点が成功の一因だろう。

 だが一方で次のような批評もある。

「完全な歪曲と捏造で我々の明るい現実を極悪に冒涜した映画とドラマを作り、堂々と流布している南朝鮮当局と当該制作者は同族を悪辣に陥れた代価を必ず払うだろう」

 これは北朝鮮の対南広報サイト「わが民族同士」が掲載した記事の一部(2020年3月4日付)。タイトルは「絶対に容認できない極悪非道な挑発行為」だ。

 ドラマの前半は、北朝鮮のひなびた村が主な舞台。迷い込んだ韓国人のセレブ女性と、兵士や村の住民らの交流が描かれる。本筋のロマンスに加え、ホロリとさせる人情、当局の目を逃れるスリル、そして北の田舎っぷりをネタにしたお笑いなどが、見せ場として用意されている。

 綿密な取材を行ったというその描写がどこまでリアルかは、すでに日本メディアでも検証記事がたくさんある。事実に忠実な部分も多いが、随所に創作がちりばめてあるというのが結論だ。また韓国メディアでは、「北朝鮮住民の暮らしはドラマよりはるかに劣悪だ」「北朝鮮が将来こうなればいいという希望を描いたのか」といった脱北者のコメントも見られた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

  2. 2
    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

  3. 3
    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

  4. 4
    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

  5. 5
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  1. 6
    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

  2. 7
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 8
    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

  4. 9
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 10
    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異

    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異