由紀さおりさん フレンチポップスに出会い大人の歌手に

公開日: 更新日:

高1なのに「客前で歌え」と教えられ銀座のクラブへ

 高校生になってからは日本の歌と異なるリズムを身に付けるため、先生についてジャズを習いました。

 でも、そういう歌を歌いたいなら「僕のところに来てもうまくならないよ。うまくなるには客前で歌わないと。その気があるなら銀座のクラブを紹介する」と先生に言われ、高1からクラブで歌うことになったんです。

 それからは学校に内緒で帰ると家でお化粧をしてお店に向かいました。そこでは1日に6時半と7時半の2回のステージをこなしました。銀座からの帰り道に酔っぱらいに「おい、ねえちゃん!」なんて声をかけられて。母に言ったら「あんたにスキがあるから」と叱られたけど、それからは心配だから、迎えに来てくれるようになりました。

 銀座のクラブでは鍛えられましたね。バンドのみなさんがアドリブで自由に演奏するのに合わせなきゃいけないから、すっごく勉強になりました。「ピンク・マルティーニ」の世界ツアーに呼ばれた時は、その時の経験が生きました。リーダーのトーマスさんがそういう人でしたから。

「夜明けのスキャット」がヒットしましたが、フレンチポップスを歌いながら、大人の歌手に脱皮できるかもがいたことが今につながっています。

■50周年の節目に観世能楽堂で一人芝居

 2019年に50周年の節目を迎え、いろんな歌を歌ってきた集約として新たなチャレンジができないかを考え、観世能楽堂で一人芝居をやることができました。有吉佐和子先生の「芝桜」が原作の「夢の花―蔦代という女―」という舞台です。

 17歳で酌婦になり、旦那にひかれ、戦後再び芸者に戻る女性の物語。演じるには三味線を弾き、踊りをやって、着物も着こなさなきゃいけないとか、やることが多くて夢中でした。

 わかったのは100回の稽古よりも1回の本番ということ。かつて「客前で歌わないと歌はうまくならない」と先生に言われたことが理解できた気がしました。

 昨年は東京で再演の予定でしたが、コロナで延期し、2月に東京で、4月に関西で開催を予定しています。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ

◆舞台「由紀さおり特別記念公演 夢の花」(2月13・14日、11時30分/16時30分開演、観世能楽堂)、問い合わせは安田音楽事務所(℡03・3341・0627)

◇12月30日リリースの新曲「家族の愛に包まれて」 由紀さおり、安田祥子の「安田シスターズ」に木山裕策を迎え、「安田ファミリー」として童謡・唱歌からポップスまで10曲を収録した2枚組CD。

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