由紀さおりさん フレンチポップスに出会い大人の歌手に

公開日: 更新日:

「夜明けのスキャット」や「手紙」で知られる由紀さおりさんは姉・安田祥子さんとの童謡コンサート、世界的ビッグバンド「ピンク・マルティーニ」とのコラボなど、さまざまな音楽に挑戦してきた。歌手生活の中で忘れられないのは童謡歌手から大人の歌手に脱皮しようと模索していた時期……。

 ◇  ◇  ◇

 私が音楽を始めたのは姉が先に入っていた横浜の「ひばり児童合唱団」で、最初は童謡歌手だったんです。それから1969年に発売した「夜明けのスキャット」が150万枚のヒットを記録するまでの間、特に中3から高校時代が悩んだ時期でしたね。

 当時から、子役が大人の俳優になるのは難しいように、童謡歌手が大人の歌い手になるのは無理という定説があったんですね。その頃、児童合唱団がコロムビアからキングレコードに移籍することになり、私も歌の勉強をさせてもらえるというので一緒にキングに移り、歌手を目指すことになりました。

 ところが、童謡歌手のイメージを払拭したいと思っていたのに、歌ったのはトリオ・ロス・パンチョスの「ベサメ・ムーチョ」とか、いわゆるムード歌謡です。中3、高1ですよ。背伸びした大人の歌を歌わされ、違うなあと思いました。

 当時は何でも歌わなきゃいけない時代でした。三橋美智也さんや春日八郎さんの曲を作った小町昭さん、吉田矢健治さんがいらして、キング時代の同期は「女心の唄」のバーブ佐竹さんや「まつのき小唄」の二宮ゆき子さんでした。

 でも、そのころよく見ていた番組は「ザ・ヒットパレード」(フジテレビ系)です。スマイリー小原さんが指揮してザ・ピーナッツ、梓みちよさん、伊東ゆかりさん、中尾ミエさん、園まりさん、ジェリー藤尾さん、渡辺トモコさん、坂本九さんらの歌が流れていました。

 私が中学時代に最初に買ったドーナツ盤レコードは「チュー チュー トレイン」のニール・セダカ「恋の片道切符」だし、口ずさんでいたのはコニー・フランシス「カラーに口紅」。そんなアメリカンポップスがあって、何か違うと思っていた私に入ってきたのがフレンチポップスです。管楽器だけのバンドではなく弦楽器も入っているポール・モーリアの「恋はみずいろ」のようなヨーロッパのサウンド、フランス・ギャルが歌ってヒットしていた「夢みるシャンソン人形」、シルビ・バルタン、クロード・ルルーシュ監督の映画「男と女」のダバダバダ、ダバダバダ……。すべてがキラキラキラと輝き、私の中でワッと広がりました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    朝ドラ「あんぱん」豪ちゃん“復活説”の根拠 視聴者の熱烈コールと過去の人気キャラ甦り実例

  3. 3

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  4. 4

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  5. 5

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  1. 6

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  2. 7

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  3. 8

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波