著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<26>ビョークとの思い出 狂気を内に秘めてて最高なんだよ

公開日: 更新日:

 このあいだ、バイデンがアメリカ大統領になったときの就任式で、レディー・ガガが国歌を歌っていたね。レディー・ガガもさ、撮ったんだよ。ずっと「撮って撮って」ってラブコールがあってね、初めて日本に来たときに(2009年)、フォトセッションしたんだ。ビョークもね、撮って欲しいって来てくれてね。世界の歌姫たちがオレに撮って欲しいって言ってくれてさ、嬉しいよ。

 ビョークはね、ロンドンのギャラリー「ホワイトキューブ」でやった展覧会(1994年)でオレの写真を気に入ってくれて、作品を何点も買ってったらしい。オレのファンになったと言ってくれてね。「東京に行ったら、この写真家に撮って欲しい」とずっと言ってたそうで、その後、日本に来たときに(1996年)撮ったんだよ。それから何度も会ってるんだ。(ビョークは世界中に熱狂的なファンを持つアイスランド出身のシンガーソング・ライター、プロデューサー、女優。1996年、2003年のビョークの来日時に荒木が撮影。)

 たけしさんの番組でオレの特集をしてくれたときにも、ビョークが録画で出てくれてね、オレについて話してくれたんだよ(テレビ東京『たけしの誰でもピカソ』。2006年放送「写真が人生! 天才アラーキー特集」。ビョークは「ロンドンでARAKIの作品に出会ったの。それは私にとって驚きの連続で、とてもパワフルな発見だったわ」と語っている)。それを見て、たけしさんが、ベネチア・ビエンナーレの映画祭でビョークに会ったときに、「俺のところに来て、ARAKIを知っているか?って。私はARAKIに撮ってもらったんだと自慢されたんだよ」という話をしてくれてね(笑)。(2000年カンヌ国際映画祭で、ビョークの主演映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が最優秀作品賞と最優秀女優賞を受賞。)

カラオケで歌ってあげたのよ 八代亜紀の「愛の終着駅」をね

 最初に撮ったときね、少女とオトナの女の両方のエロスを持ってるというか、やっぱり狂気を内に秘めてて、最高なんだよ、ビョーク。少女と老婆がまざったような女性でさ、それがすっごく素敵なの。新宿のカラオケバーに連れてって、一曲歌ってあげたのよ。「愛の終着駅だよ」とか言って、八代亜紀の『愛の終着駅』をね。で、何点って訊いたら、「10点!」って言ってくれたね。「何点満点の10点?」って訊いたら、「10点満点の10点!!」って。ホントだよ~(笑)。

 その次に来日(2001年)したときのフォトセッションは、ビョークが体調悪いからって中止になったんだ。でもね、彼女はオレに詫びを言うために、新宿にわざわざ会いに来てくれたんだ。その後に手紙をもらったね。そのときの写真があるよ、ビョークとチューしてるんだよ(笑)。

(構成=内田真由美)

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