著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<21>チロに「吾輩は猫である」を読んであげたこともあるよ

公開日: 更新日:

 これはチロがウチに来て初めての正月だね(1989年1月1日)。正月だから陽子は着物着て、チロちゃんにもリボンをつけてあげたんだよ。

 チロはね、陽子が春日部(埼玉県)の実家からもらってきたんだ。生後4ヶ月ぐらいだったかな(1988年3月に生後4ヶ月の雌の仔猫が妻・陽子の実家からもらわれてくる)。オレは、猫の匂いが臭くて嫌いでさ、陽子は猫が好きで飼いたいって言ってたけど、ずっと飼わないからねって言ってたんだ。もらわれてきた時も、何だこの匂いは!って。でもね、すぐにコロっていっちゃったね。もうね、可愛いんだよ~。チロはオレが猫嫌いだってわかったんだよね、コロリコロリと離れなくてさ。寝コロリコロリするしさ。あの頃からダジャレで言ってるんだけど、ネコロリコロリって。ネコロリコロリで、やられちゃったんだよ、アハハ(笑)。

 それから、陽子とチロと3人家族っていう感じだったね。新聞読もうと広げると、上に乗って邪魔するしさ。原稿書いて文学しようとすると、原稿用紙の上に乗っちゃう。ソファでオレが昼寝すると、チロもオレのオマタの上にうずくまって寝るんだよね。ほら、オレとチロが寝ている写真があるだろ。

 『吾輩は猫である』を読んであげたこともあるよ(笑)。

陽子はさ、オレとチロの性格が似てるって…

 陽子は、猫は臭いから嫌いだと言ってたオレが猫狂いになって驚いてたね(笑)。

「『ねえアナタ、猫って臭くないでしょ』 私はこの一言を言ってみたくてたまらなかったのだ。『あー臭くないよなあ』と夫は、昔のことなど忘れているような顔で答えた。それからチロをムギュっと抱きしめ、鼻づらにキスをし、『チロちゃんはくしゃくないでしゅよ。いいにおいでしゅよねー』などと、タラちゃん言葉で続けたのだ。私は呆れ返って言葉がでなかった」(荒木陽子の著書『愛情生活』より)

 陽子はさ、オレとチロの性格が似てるって、いつも言ってたんだよね。

「いつもいつもチロは大好きなパパの匂いを追いかけている。私の見るところ、夫とチロは性格が似ている。どちらも淋しがりやで情が厚くてクレージーだ。お互いにいい相手にめぐり会えてよかったじゃないの」(同著より)

(構成=内田真由美) 

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃