立岩陽一郎
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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

3.11報道 日本メディアは海外から不信の目で見られていた

公開日: 更新日:

 2011年3月11日、私はアメリカで朝を迎えた。テレビをつけると、NHKが流れている……「なんでNHKなんだ?」と思う間もなく、事態を把握できた。それが街を襲う津波の映像だったからだ。

 東日本大震災の時、私はNHKからの派遣でアメリカの大学院に留学していた。既に日本は震災から一夜明けていた。アメリカのテレビはNHKをそのまま流していた。その信じられない画像に立ち尽くすしかなかった。

 パソコンには大学院の同僚らから次々にメールが送られている。「親族は大丈夫か?」「何かできることはないか?」と。その日までの生活で日本を意識することはなかった。日本についての報道はほとんどなかった。パリス・ヒルトンが日本に入国できなかったというニュースくらいだろうか。それが、その日を境に新聞、テレビが日本一色になる。

 全米の新聞が周囲を囲むように掲示される報道の博物館「ニュージアム」は、被災地の写真で埋め尽くされた。どこへ行っても声をかけられ、「日本のために祈っている」と言われた。外食すれば、オーナーが出てきてお悔やみを述べられた。バージニア州では、小学生の女の子が両親と1ドルで紙を道行く人に買ってもらっては折り鶴を折っていた。集めたお金を被災地に送ると言う。そのバージニア州には震災で若い命を失った英語教師テイラー・アンダーソンさんのご両親が住んでいる。ご両親は、娘が愛した日本を愛し、今も被災者と震災を風化させない取り組みをしている。

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