著者のコラム一覧
立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」に出演中。

3.11報道 日本メディアは海外から不信の目で見られていた

公開日: 更新日:

■「3・11」報道の批判も検証もなし

 こうした動きはアメリカだけではないだろう。震災で世界の多くが日本への思いを示してくれた……と、ここまでは日本でも数多く報じられている。もちろん、それらは事実だ。しかし、あまり日本で報じられない側面もある。それは、原発事故をめぐる日本の報道に向けられた厳しい視線だ。

 日本から戻ったアメリカのジャーナリストが口々に語ったのは、東京電力の会見の閉鎖性だった。批判は東京電力だけに向けられたものではなかった。会見場を占拠してひたすらパソコンを叩く日本の記者の姿は、かなり異様な存在として語られた。

「彼らは質問をしない。ただひたすら東電の発表をメモしていた」

 アメリカのジャーナリストは会見の後ろに陣取るカメラマンの列のさらに後ろに立って取材するのが精いっぱいだったという。留学先のアメリカン大学で開かれたシンポジウムでパネリストを務めた際は、学生から、「なぜ日本の記者は東電に質問ができないのか?」「東電は新聞社の親会社なのか?」という質問を受けた。また、「NHKは国家機関なのか?」という質問も受けた。政府の発表を流すNHKをアメリカのメディアがそう表現した点が影響したのだろう。もちろん、「それは違う」と答えたが、参加者の疑問にはうなずかざるを得なかった。あの時、日本のメディアは海外から不信の目で見られていた。

 震災から10年。新聞もテレビでも復興を検証する内容を報じている。しかし震災を報じた自らの姿を批判的に検証する記事や番組はまだ見ていない。

※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。
 tateiwa@infact.press

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  2. 2

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 3

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  4. 4

    国分太一の先行きはさらに険しくなった…「答え合わせ」連呼会見後、STARTO社がTOKIOとの年内契約終了発表

  5. 5

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  1. 6

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  2. 7

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  3. 8

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  4. 9

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  5. 10

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも